コンピテンシーラーニングを読んだ。
コンピテンシーとは卓越した成果を残す人と、残せない人の違いに着目する。そのどちらの人にもインタビューして行動特性をあぶり出し、そして成果をあげる人の行動特性を、成果が出ない人にマネさせれば、同じような成果がだせるようになる。要は、できる人の真似をするということ。
人それぞれ性格や気質の違いなどあるわけだから、簡単にはいかないとは思うけど、できる人を真似をすることは昔から言われていることなので、それを科学的にできるようになるのなら利用しない手はない。
コンピテンシーは3つのフェイズ(段階)がある。
第1フェイズ 標準的水準に向かう
モチベーションの特徴
このフェイズの行動の契機は、上司や先輩からの指示、規則やルールの遵守など受身の外発的モチベーションとなる。したがって、自分の役割について理解するために「自分の役割認識」すなわち当面の取り組む課題についての的確な把握する「課題認識」が必要になる。
基本的で効果的な行動の特徴
このフェイズにおいて、業績を向上させるためには、「確実に、できるだけ多く、休まずに」職務を遂行すること。
第2フェイズ 標準的水準への到達と足踏み
この段階に達するまでには、人によっては早い人、遅い人もいるが、業績を一定の標準的水準で安定して上げられる状態、いわゆる人並みになったことを意味する。
既存のモチベーション理論との関連性
目標設定理論
意欲を高める目標は、具体的で(何についてどのくらいかが明瞭であること)、意義が感じられ(どうして目指すのか)、難しいもの(チャレンジング)でなければならない。
期待理論
ある活動に打ち込みんで業績が上がり、また高い業績を上げることがいろいろな種類の報酬によって確実に報われると感じられたときに、人はその活動に携わる意欲が高まる。
プラトー(足踏み)からの脱却に必要とされる学習
視野拡張と視点転換
興味や関心を自分の職場だけでなく組織全体、そして組織外にも広げることが視野拡張。また、この視野拡張には、モデリングする対象人物やベンチマーキングしている人物の変更、そして何に注目して観察するかの視点転換も含まれる。
活動の質的転換
活動の量はあまり重要ではない。活動の内容と方法の質的な転換が不可欠である。
活動の質的転換に必要な二つのモチベーション
反復モチベーション
これまで行っている活動を反復して、継続する個人の気持ちの強さを表す。どのような学習も反復することによって促進される。
着手モチベーション
新規の課題を発想し、それに取り組む気持ちの強さを表す。新規課題は新しいというだけでも難しい課題であることを意味する。また、プラトー(足踏み)状態に入っていることを考えると、これまでの学習では間に合わないことが示唆される。
第3のフェイズ 足踏みからのブレイクスルー
必要条件
- 現在の標準的水準を超えて、最高水準に達したいという明確な目標を持つ
- 取り組むべき新規および難しい課題を見つけ出し、それへ積極的にチャレンジして新しい経験を積む。
- 新規で難しいチャレンジを通して、既に持っている知識やスキルが洗練されたり、あるいは関連付けされる。
十分条件
- コンピテンシーの学習が成されているとすると、職務上の成果や業績に現れる。
- コンピテンシーを学習できている個人は、個人的な知識にとどめることなく、他社にも理解できるように説明できる。
共通性の知覚
新しく取り組もうとしている課題に、過去に経験してきた経験に共通性を見出す。
差異性の知覚と弁別力
同じところも大事だが、違うところにも敏感でなければならない。しかも、「なんとなく同じ」や「なんとなく違う」でもなく、「あれとこれは、ここが、違う」と明瞭に言及できる状態。
成功や失敗とコンピテンシーの学習
成功の場合、人はうれしさや喜び、満足感を得て、有能感や効力感を持つ。そして、分析的に振り返ることで成功後も学習が進む。
失敗の場合は、
- これまでの成功パターンとどこが違っているか
- これまでの失敗とどういう点で共通性があり、どこが固有性を持っているかという「差異性の知覚」が必要。
こうして、人は失敗からも学ぶことができる。
学習の言語化 暗黙知から形式知へ
コンピテンシーを学習できている個人は、コンピテンシーの根幹を成している「知識やスキルの効果的な連鎖や体系」を、他者にも理解できるように言語化できている。
感想
自分の会社にコンピテンシーが導入されていなくても、個人的にコンピテンシーを導入して成果を上げるヒントが無数にあった。
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