甘いポカリと苦いポカリ

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小学生

わたしは小さい頃、免許証や財布をひろったら全速力で交番へ届けていた。

まー、正義感とか道徳心からくるものではなく、学校で落し物をひろったら警察へ届けるということを習ったからだろうと思う。

 

小学1,2年の頃だろうか、道端で初めて免許証をひろった。

免許証と読めなくてもこれが免許証だとわかったのは、親の免許証を見ていたからだと思う。

 

わたしは深く考えることなく、条件付けされてる犬のように免許証を交番へ届けた。

すると、おまわりさんからホメられた。うれしかった。

どこで落としたとか、自分の名前や住所を書いたりして家に帰った。

 

免許証を交番へ届けたことを親に話すと、かなり喜んでくれてホメてくれた。

うれしかった。

普段、ホメられることのないだけ余計に。

 

喜ぶことはまだあった。

後に警察から電話があり、持ち主がみつかったから交番へ来てほしいと言われた。

交番へ行くと、持ち主はいなかったが落し物を届けてくれたお礼として、「ポカリスエットと1000円」をくれた。

 

わたしは、落し物が無事に持ち主に届いたことではなく、ポカリスエットと1000円が手に入ったことに狂喜乱舞した。

交番からの帰り道に飲んだ適度な甘さのポカリ、おいしかったなー。

 

落し物をひろうと、ポカリスエットやお金をGETできると学習した小学生のわたしは、その後も落し物をひろうとせっせと交番へ届けていた。

 

時が経ち、高校生となっていた私は、友達の家へ行く途中でサイフをひろった。

中身を確認すると免許証が入っていたので、その住所が友達の家の住所に近いことを知った。

これだったら、交番へ届けるより友達に聞けばその落とし主を知っていて、直接落とし主にサイフを渡せるかもしれないと思い、その友達へ事情を伝えた。

 

その友達は落とし主のことを「知らない、とりあえずゲームしようか」と言った。

わたしもわたしで、じゃあゲームしようかとゲームをして、落し物のことを忘れて家に帰った。

 

数日後、その友達が新しいゲームソフトを買ったと言った。

そして、ゲームソフトを買えたのは、拾った財布を交番へ届けたら、落とし主がお礼に1万円をくれたからだと言う。

さらに、「本当は持ち主も知ってたし、そのまま家へ届けてもよかったんだけど、交番へ届けたほうがお礼をもらえるだろ」

 

わたしが絶句していると、「あ、じゃあ、おまえにも分け前やらなきゃな」と言い、学食にある自販機で、ポカリスエットを買ってきてわたしへ投げ寄こしてきた。

これでいいだろ」と言われた。

 

何だか釈然としないまま飲んだポカリスエットは、苦かったわー。

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